医療・介護施設やデイサービス事業所(以下、介護施設)では、感染症への抵抗力が弱い高齢者が集団で生活をすることから、感染すると重症化につながったり、ほかの入所者や職員へと集団感染が起きたりするリスクがあります。
特に冬期になるとインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行するほか、新型コロナウイルス感染症についても継続して感染者が見られています。
介護サービスは、入所者やその家族の生活を支えるうえで欠かせないものとなるため、感染症対策を徹底することが重要です。介護施設環境における感染症対策の一つに、衛生機器の導入が挙げられます。
介護施設の担当者は、「特に注意する感染症にはどのようなものがあるか」「感染症対策に活用できる衛生機器にはどのような種類があるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、介護施設で特に注意が必要な感染症と感染症対策に活用できる介護用品について解説します。
介護施設で特に注意が必要な感染症
介護施設では、集団感染を起こす可能性がある感染症や、抵抗力が低下した人に発症しやすい感染症などに特に注意が必要です。
厚生労働省が作成した『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』では、介護施設で対策が必要な感染症として以下が挙げられています。
▼介護施設で特に対策が必要な感染症
感染症 | 特徴 | 主な感染経路 |
インフルエンザ | 冬季に流行するインフルエンザウイルスによる感染症。 | 咳やくしゃみによる飛沫感染 |
ノロウイルス感染症 | 冬季に流行する感染性胃腸炎の主要な原因となるノロウイルスによる感染症。 | 手指や食品などを介して伝播する接触感染 |
結核 | 結核菌による慢性感染症。 | 咳やくしゃみなどの飛沫による空気感染 |
疥癬(かいせん) | ダニの一種が皮膚に寄生することで発生する皮膚病。 | 接触感染や衣類・寝具などからの間接的な感染 |
腸管出血性大腸菌感染症 | O157、O26、O111などの腸管出血性大腸菌によって引き起こされる腸炎。 | 手指や食品などを介して伝播する接触感染 |
レジオネラ症 | レジオネラ属の細菌によって起こる感染症で、汚染されたエアロゾル(※)を吸入することによって起こる | 循環式浴槽水や加湿器の水、給水・給湯水 |
肺炎 | 肺炎球菌やインフルエンザウイルスなどの感染によって起こる炎症。 | 咳やくしゃみによる飛沫感染 |
誤嚥性肺炎 | 細菌が肺に入り込むことによって起こる肺炎。 | 飲食物や唾液の誤嚥 |
薬剤耐性菌感染症 | 黄色ブドウ球菌や大腸菌などの体内に持っている菌が耐性化することによる感染症。 | 分泌物や排泄物などの接触感染 |
※気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子
また、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症についても、介護施設での集団感染が依然として続いている状況です。
このような流行しやすい感染症は、施設内から新たに発生することは非常に稀とされており、主に施設外から施設内へと持ち込まれて飛沫感染や接触感染によって広がります。
▼介護施設における感染経路
画像引用元:厚生労働省『高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版』
集団感染が懸念される介護施設では、職員、面会者、通所サービス利用者、委託事業者などを経由して感染症の病原体を持ち込まないようにするとともに、施設内で病原体を広げないようにする対策が求められます。
なお、ノロウイルス感染症のリスクと対策については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
介護施設の感染症対策に活用できる衛生機器・介護用品
衛生機器とは、トイレや浴室などの水回り設備を含む、施設内の衛生管理を行うための機器全般を指します。介護施設の感染症対策に活用できる衛生機器には、以下が挙げられます。
01 非接触で利用できる水回り設備
1つ目は、手を触れずに利用できる非接触式の水回り設備です。
手洗いやうがいによる感染症対策を行うための水回り設備には、水道カランの汚染による接触感染のリスクがあります。
水回り設備に手を触れずに使用できるようにすることで、感染症の感染経路の一つとなる接触感染を予防して、安全に衛生機器を使用できます。
▼非接触で利用できる水回り設備の例
- センサー式の自働水栓
- 足踏み式の蛇口
- 肘押し式の水栓レバー
02 空気洗浄機
2つ目は、空気洗浄機です。
感染症の感染経路には、会話や咳、くしゃみなどによって伝播・飛散する飛沫感染または空気感染があります。
抗菌・除菌機能を持つ空気洗浄機を設置することで、空気中を漂う菌やウイルスを吸い込むことによる飛沫感染・空気感染を予防できます。介護施設の個室をはじめ、人が集まる食堂や共用スペースなどに設置すると有効です。
03 抗菌タオル製造機(おしぼり機)FIND
3つ目は、抗菌使い捨ておしぼりを作る抗菌タオル製造機(おしぼり機)FINDです。
介護施設では、手指や食器、福祉用具や手すり、汚物室などを介して病原菌が伝播する接触感染のリスクがあります。
接触感染を防ぐには、手洗いの徹底や熱水または塩素系漂白剤による消毒が有効とされていますが、タオルの共有・使い回しは避けることが重要です。
使い捨てかつ、抗菌効果を持つタオルがボタン一つで出てくる製造機を導入することで、手指や手の触れる場所の消毒、身体拭きなどに役立てられます。
04 密封消臭ゴミ箱
4つ目は、消臭や抗菌効果を持つゴミ箱です。
介護施設では、感染症に感染した入所者の便に触れた手指や使用した手袋・エプロンなどを介して、二次感染を起こすケースが多く見られています。
特におむつ交換の際には感染拡大のリスクが高まるため、ケアをしたあとの手指の消毒や手袋・エプロンの取り換えとともに、おむつの処理方法に注意する必要があります。
密封式で消臭・抗菌効果を持つゴミ箱を設置することで、ケアに使用した手袋やおむつなどを衛生的に処理できるようになります。
衛生機器そのものを清潔に保つことも重要
介護施設の感染症対策を行う際には、衛生機器を用いて身体の衛生管理を行うだけでなく、衛生機器そのものを清潔に保つことも重要です。
トイレや浴室、洗面台などの水回り設備をはじめ、共用部のドアノブ・手すり・床などは1日1回以上の湿式清掃を行い、必要に応じて消毒液を用いた清掃を行うようにします。
▼衛生機器の消毒・除菌方法
消毒液 | 消毒・除菌方法 |
アルコール消毒液 | 60%以上95%以下のエタノールで共用部のドアノブや手すりなどを清拭する |
熱水 | 浴槽や差し込み便器などを熱水で流して乾燥させる |
塩素系漂白剤 | 濃度0.02~0.05%の希釈液を使用して、トイレの便座やドアノブ、手すりなどを消毒する |
家庭用洗剤 | 住宅・家具用の洗剤は、使用方法に沿って清拭する。台所用洗剤の場合は、100分の1に薄めてからタオルやモップに浸して拭き取る。 |
次亜塩素酸水 | 濃度0.008%以上の次亜塩素酸水を、消毒したい箇所の表面に垂らして拭き取る |
ノロウイルスや新型コロナウイルス感染症の対策には、アルコールよりも熱水または塩素系漂白剤による消毒が有効とされています。また、清拭による消毒は手袋を着用したうえで行うようにしてください。
ケアツールIggyで提供している衛生機器・介護用品一覧
TSUMIKIの『ケアツールIggy』では、介護施設の環境面に関する衛生管理に活用できるさまざまな衛生機器を提供しております。
空気洗浄機『エアメディック』
エアメディックは、抗菌効果を持つ専用液を使用して室内の空気環境を清潔に保つ空気洗浄機です。
▼エアメディックの特徴
- 独自開発のHSP技術を用いた専用液の使用により、高い抗菌力(ウイルス・菌類など)が期待できる
- 専用液は塩素系を使用せず、天然の植物・穀物、複数のアミノ酸から構成されており、体にやさしい
- 悪臭を吸着・分解する強力な消臭力で、介護現場の環境改善にも役立つ
抗菌タオル製造機(おしぼり機)『FIND』
FINDは、医療・介護の現場における清拭や食事の介助などに用いるタオルをボタン一つで使用できる製造機です。口腔ケアにも使える安全な抗菌液を使用しており、拭いた手やモノには抗菌効果が長時間持続します。
▼FINDの特徴
- 抗菌・抗ウイルス・消臭・防カビなどの機能を持つ除菌液“ニュークリーンスター”を使用しており、長時間の抗菌効果が期待できる
- 大豆アミノ酸を主成分としており体にやさしいため、手指の消毒や身体の清拭などに安心して使える
- 約60~90度の温度調整と厚手・薄手の選択によって、用途に合わせて使用しやすい
- 使い捨てで衛生的なほか、タオルの洗浄や温めなどの作業負担を削減できる
おむつ用ゴミ箱『HOALU』
HOALUは、特殊なフィルムと消臭・抗菌・抗ウイルス機能を持つシートが備わったゴミ箱です。おむつやケアに使用した手袋の処理などに活用できます。
▼HOALUの特徴
- 約99%の抗菌・抗ウイルスの機能を持つシートで、感染源となりうるおむつや手袋などの処理を衛生的に行える
- 7層構造の特殊フィルムで臭いをブロックして、約90%以上の消臭効果が期待できる
まとめ
この記事では、衛生機器を用いた感染症対策について以下の内容を解説しました。
- 介護施設で特に注意が必要な感染症
- 介護施設の感染症対策に活用できる衛生機器・介護用品
- 衛生機器そのものの消毒・除菌方法
- ケアツールIggyで提供している衛生機器・介護用品
介護施設では、施設外から感染症の病原菌が持ち込まれて、飛沫感染や接触感染によって施設内へと広がることによって集団感染が発生するリスクがあります。
抵抗力が弱い高齢者は重症化につながるおそれもあるため、手洗いや施設内の清掃とともに、衛生機器を用いて感染が広がらないように対策することが重要です。また、衛生機器そのものを介した感染を防ぐために、熱水や消毒液などを用いて消毒・除菌することも欠かせません。
『ケアツールIggy』では、介護施設での感染症対策に活用できる空気洗浄機や抗菌タオル、消臭・抗菌機能を持つゴミ箱などの介護用品を提供しております。
衛生機器でコスト削減を検討されている方は、こちらからお気軽にご相談ください。