近年、世界規模でのエネルギーコストの高騰が起きています。日本でも、卸電力取引の市場価格が2020年から急激に高騰しており、それに伴い電気料金の値上げを発表している電力会社も見られている状況です。

医療・介護施設では、快適な環境を維持するために、冷暖房器具や換気システムなどのさまざまな設備で電気を使用しています。これまでより毎月の電気料金が増加しているという施設も多いのではないでしょうか。

施設の節電に向けた有効な取組みとして、窓の断熱性を高める“断熱フィルム”の活用が挙げられます。

この記事では、節電対策に悩んでいる医療・介護施設の担当者さまに向けて、断熱フィルムのメリットや選び方を解説します。

断熱フィルムとは

断熱フィルムとは、窓に貼り付けて室内の断熱性能を高めるフィルムのことです。

フィルムには断熱加工が施されており、窓を通じて室内の熱が外に逃げる、太陽や外気の熱が室内に伝わるのを抑える効果が期待できます。

▼断熱フィルムの仕組み

時期仕組み
冬季暖房器具の遠赤外線が室内に反射されることで、窓からの熱損失を抑える
夏季太陽の日射熱を反射して、室内に熱が伝わりにくくする

窓は、建物のなかでもっとも断熱性能が低く、熱損失が大きい場所です。冬場の寒さの約60%は、窓を通じて外気の冷えが伝わることが原因とされています。

窓の断熱性能が低下すると、外気の暑さ・寒さが室内に伝わったり、室内の熱が外に逃げたりするため、冷暖房の効きも悪くなってしまいます。外気と室内の温度差が大きくなるほど、設定温度に達するまで冷暖房がフル稼働することとなり、消費電力の増加につながります。

断熱フィルムを導入することで、窓の断熱性能を高めて冷暖房の効きをよくできるため、医療・介護施設の節電対策にも有効といえます。

窓に断熱フィルムを貼るメリット

医療・介護施設の窓に断熱フィルムを貼ることで、以下のようなメリットが期待できます。

光熱費を削減できる

断熱フィルムを使用することで、冷暖房器具の使用にかかる光熱費を削減できるメリットがあります。

窓に断熱フィルムを貼ると、窓を通した熱の移動を抑えられます。これにより、冷暖房の稼働効率が高まるため、冷暖房の使用量を減らしたり、フル稼働を控えたりできるようになります。その結果、冷暖房の消費電力が抑えられて、光熱費の削減が期待できます。

なお、介護施設の省エネ対策についてのメリットは、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

快適な施設環境を整えられる

快適な施設環境を整えられることも、断熱フィルムのメリットです。

断熱フィルムを窓に貼ると、夏は太陽・外気の熱が室内に伝わりにくく、冬は暖まった空気を外へ逃がしにくくして、室内の温度を快適に保つことができます。

また、窓の断熱性能が高まり冷暖房の効きがよくなることで、一年を通して快適に過ごしやすくなります。

紫外線によるトラブルを防げる

断熱フィルムには、紫外線によるトラブルを防げるメリットもあります。窓から紫外線が侵入するのをカットすることで、以下のようなトラブルを防止できます。

▼紫外線によるトラブル

  • 肌の日焼け、シミ、シワ、たるみ
  • フローリングやカーペット、家具、カーテンなどの日焼け・色褪せ

医療・介護施設のスタッフや利用者の肌トラブルを防げるほか、施設内にある家具・調度品を長く使用することにもつながります。

窓ガラスの飛散を防げる

断熱フィルムを貼ると、窓ガラスが割れてしまった際に破片が飛散してしまうのを防ぐことが可能です。

窓ガラスに断熱フィルムが接着している状態になるため、地震・台風や物をぶつけた際に窓ガラスが割れて、周囲に飛び散った破片でけがをしてしまうといった事故を防止できます。医療・介護施設での災害・事故の対策としても有効です。

プライバシー対策になる

医療・介護施設のプライバシー対策になることも、断熱フィルムのメリットです。

窓に断熱フィルムを貼ると、光を反射するミラー効果によって、外から部屋の様子が見えにくくなります。

通行人の目が気になる一階の部屋や、診察室、トイレなど、プライバシーの配慮が必要なところに使用すると、スタッフや利用者のプライバシーを保護できます。

断熱フィルムの選び方

断熱フィルムは、製品によって性能・機能が異なります。医療・介護施設に使用する際は、断熱効果・フィルムの透明度・紫外線のカット率といった3つの要素を比較して選ぶことがポイントです。

01 断熱効果

断熱フィルムを選ぶ際は、熱貫流率と遮蔽係数に着目することがポイントです。

熱貫流率とは、窓を介した両側(内と外)の温度差を1℃としたときに、窓ガラス1m2当たりに1時間でどれくらいの熱が通過したかを示す数値です。

遮蔽係数とは、日射熱をどれくらい遮るかを示す数値です。断熱フィルムの場合は、厚さ3mmの透明板ガラスを基準(1.0)として、どれくらい数値が低いかどうかを判断します。

熱貫流率と遮蔽係数の数値が低いほど、断熱性能・遮熱性能に優れた断熱フィルムと判断できます。

02 フィルムの透明度

断熱フィルムを選ぶ際は、フィルムの透明度についても確認しておく必要があります。断熱フィルムの透明度は、“可視光線透過率”で判断できます。

可視光線透過率とは、可視光線(人間の目が感じる光)を通す割合を示す数値です。数値が低いほど、外から中の様子が見えにくくなり、プライバシーを確保しやすくなります。

ただし、外が暗い場合には、室内から外の様子が見えにくく、反対に外から室内が見えやすくなるといったデメリットもあるため、夜間はカーテンやブラインドを使用する必要があります。

一般的に、可視光線透過率が50%を下回ると暗さを感じやすいといわれています。室内の明るさを変えずに使用したい場合は、50%以上のフィルムが適しています。

医療・介護施設では、部屋の用途やプライバシー対策の必要性に応じて選択することがポイントです。

03 紫外線のカット率

断熱フィルムによって紫外線のカット率が異なります。紫外線のカット率は、数値が高いほど、フィルムが紫外線の侵入を遮っていると判断できます。

施設内のフローリング・調度品の日焼け・色褪せが気になる部分や、利用者が長く滞在する場所などでは、紫外線カット率の高いフィルムを選ぶことがポイントです。

光熱費削減・節電対策に有効な選択肢として

この記事では、医療・介護施設の節電対策に役立つ断熱フィルムについて、以下の内容を解説しました。

  • 断熱フィルムの仕組み
  • 窓に断熱フィルムを貼るメリット
  • 断熱フィルムの選び方

断熱フィルムで窓の断熱性を高めることで、冷暖房効率を高めて消費電力を抑えたり、冷暖房の使用量を減らしたりできるため、医療・介護施設の節電対策にも有効です。

断熱効果の高いフィルムを導入するには、熱貫流率と遮蔽係数の数値が低い製品を選ぶことが重要です。また、施設内でのプライバシー対策や紫外線カットの必要性に応じて、可視光線透過率と紫外線カット率を確認することもポイントです。

ケアツールIggy』では、医療・介護施設の窓の断熱性能を高める遮熱断熱フィルムを提供しています。冷暖房効率を高めて節電効果が期待できるほか、99%以上の紫外線のカットによって、肌トラブルや家具の日焼けを防止できます。そのほか、窓ガラスの飛散防止機能によって施設の安全対策にも貢献します。利用者様とスタッフが安心して過ごせる施設環境づくりにお役立てください。

衛生機器でコスト削減を検討されている方は、こちらからお気軽にご相談ください。