汚物室とは、介護施設や病院に設置されている設備の一つです。ポータブルトイレの洗浄や使用済みリースタオルの保管、使用済みオムツの廃棄など、施設内の衛生管理を行うために重要な設備といえます。

一方で、汚物室には感染症の原因となる汚染物が多く存在しているため、施設内での感染経路になる可能性があります。

医療・介護施設の管理者のなかには「汚物室の衛生管理を行うなかでどのような課題があるのか」「どのように感染症対策を行えばよいか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、汚物室の衛生管理に関する課題と感染症対策のポイント、活用できる衛生機器について解説します。

なお、ノロウイルスの感染症対策についてはこちらの記事で解説しています。

医療・介護施設の汚物室に関する課題

医療・介護施設の汚物室では、汚染物を廃棄するまで一時的に保管したり、汚染物が付着した衛生機器・布類などの洗浄を行ったりすることから、感染症や臭い、湿気などによるさまざまな衛生課題が生じやすくなります。

課題1|ほかの用途と兼用すると清潔な物品が汚染される可能性がある

医療・介護施設のなかには、汚物室が物品の保管庫や洗濯室と兼用になっているケースがあります。

このような場合、汚物室内に保管された汚染物によって未使用あるいは洗浄済みの物品が汚染されてしまうことが懸念されます。また、汚染物からほかの物品へ臭いが移ってしまう可能性もあります。

課題2|汚染物を扱った職員が感染経路となる可能性がある

汚物室では、嘔吐物や排泄物、体液などが付着した汚染物が一次的に保管されます。汚染物を扱った職員が汚物室に出入りすることにより、感染経路となって施設内で感染症の拡大につながるおそれがあります。

汚染物を処理したあとは、手指の消毒や液体石けんによる流水手洗いを行うとともに、汚染物を介した感染症の拡散を防ぐために感染経路を遮断する対策が必要です。

出典:厚生労働省『介護現場における感染症対策の手引き 第3版』『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)

課題3|湿気や埃が細菌の増殖原因となる

汚物室の湿気や埃が原因となって細菌が増殖する可能性があります。

水場の湿気は、細菌が増殖する原因となり得ます。また、埃に付着した細菌やウイルス、カビが空気中に舞うことによって汚染が広がる可能性もあります。

汚物室には介護設備や衛生機器の洗浄に使用する水場も存在するため、細菌の増殖しやすく汚染が広がりやすい環境といえます。

なお、感染症対策の考え方や抗菌・抗ウイルスの違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

出典:厚生労働省『介護現場における感染症対策の手引き 第3版

汚物室における感染症対策のポイント

汚物室を介して感染が広がらないように、平常時から汚染物の隔離と定期的な清掃を行うとともに、汚染された機器・器具・環境などは迅速に消毒することが重要です。汚物室における感染症対策のポイントには、以下が挙げられます。

01 清潔と不潔のエリアを明確に分ける

汚物室から外へ汚染が広がらないように、清潔なものと不潔なものを置くエリアを明確に区分することが重要です。

清潔なエリアと汚染物を扱うエリアを超えて職員が行き来するのではなく、各エリアの受け待ちを決める方法もあります。施設内での汚物室の管理体制や汚染物の扱い方について、ルールを定めておくことが求められます。

▼エリアの区分による感染症対策の例

  • 清潔なものの保管場所を水場から離す
  • 汚染物を処理する際は、そのエリア内で密閉して廃棄または保管、消毒ができるようにする
  • 感染性廃棄物(※)は、ほかの廃棄物と区別して保管する
  • 汚物室に入室・退室する際は、手指の消毒や手洗いを行う など

汚染物が付着した感染性廃棄物については、ほかの廃棄物と同じように処分するとそこから感染が広がるおそれがあります。感染症の拡大を防ぐには、感染性廃棄物を専用の容器やビニール袋に入れて密閉して、移動途中で飛散・流出しないように分類処理を行うことが重要です。

※感染性廃棄物とは、人に感染するおそれのある病原体が含まれる、あるいは付着した廃棄物のこと。血液や排泄物などを指す。

出典:厚生労働省『介護現場における感染症対策の手引き 第3版』『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)

02 個人防護具を着用する

汚染物の処理や汚物室を使用する際には、個人防護具を着用して職員が感染経路にならないように注意します。

▼個人防護具の例

  • マスク
  • 手袋
  • エプロン
  • ゴーグル
  • フェイスシールド など

また、個人防護具を身につけて汚染物を扱った場合、汚染された個人防護具から感染が拡大する可能性があります。汚染物の拡散を防ぐには、着用したまま清潔なものを触らないようにするとともに、使用済みの個人防護具は持ち歩かずに速やかに感染性廃棄物を処理する箱に捨てることが重要です。

出典:厚生労働省『介護現場における感染症対策の手引き 第3版』『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)

03 汚物室の清掃や汚染された設備・器具の消毒を行う

汚物室の清掃は、1日1回以上行う必要があります。水で湿らせたモップや布で埃を拭き取ったうえで、乾拭きをして乾燥させます。清掃によって埃と湿気を取り除くことで、細菌の増殖を防止できます。

また、汚染が広がりやすい設備・器具は消毒液を用いて清掃を行い、間接接触感染や飛沫感染を防ぐことも重要です。

▼消毒による清掃方法

清掃対象清掃方法
医療・介護用の器具以下の消毒液を用いて消毒を行うベンザルコニウム塩化物(0.1~0.5%)ベンゼトニウム塩化物(0.1~0.5%)アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩(0.1~0.5%)
汚染した再使用器具熱水洗浄消毒器、または消毒液による浸置処理を行ったうえで洗浄を行う
汚染物が付着した床や壁など手袋を着用してペーパータオルまたはタオルで拭き取り、次亜塩素酸ナトリウム(0.5~1%)で消毒後、湿式清掃して乾燥させる(手袋着用)
手すりや保管棚、ロッカーなど消毒用エタノールを使用して消毒を行う

なお、清拭タオルの使い回しによるリスクは、こちらの記事で解説しています。

清拭タオルの使い回しによる利用者と職員へのリスク。医療・介護現場の衛生管理を行うポイントとは

出典:厚生労働省『介護現場における感染症対策の手引き 第3版』『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)

医療・介護施設の汚物室で活用できる衛生機器

汚物室の感染症対策に活用できる衛生機器があります。ここからは、『ワークプレイスIggy』で提供している衛生機器を紹介します。

▼空気洗浄機『エアメディック』

独自開発のHSP技術を用いた高い抗ウイルス力・抗菌力を持つ専用液を揮発拡散させることにより、空間を清潔に保ちます。専用液は20種類の複合アミノ酸と天然植物抽出液で作られており安心安全に使用できるほか、悪臭を吸着・分解する強力な消臭力も持つため、汚物室内の臭い対策にもなります。

▼抗菌ライト『aiSave』

光触媒によってウイルスや細菌・花粉・臭いなどをライトの表面で吸着して、水と二酸化炭素に酸化分解することで空気を浄化します。また、銀イオンの働きによって除菌・防カビ・ウイルス抑制を行い、菌が繁殖しにくい空間を保ちます。

▼おむつ用ゴミ箱『HOALU』

約99%の抗菌・抗ウイルスの機能を持つ専用シートと約90%以上の消臭力を持つ7層構造の特殊フィルムで、ゴミ箱での細菌の増殖や臭いを防止します。

医療・介護施設で活用できる衛生機器については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

まとめ

この記事では、汚物室の感染症対策について以下の内容を解説しました。

  • 医療・介護施設における汚物質の課題
  • 汚物室における感染症対策のポイント
  • 汚物室で活用できる衛生機器

医療・介護施設の汚物室では、汚染物を介してほかの物品に汚染が広がったり、汚染物を扱った職員が感染経路となって感染症が拡大したりするおそれがあります。

汚物室での感染症拡大を避けるには、汚染物を扱うルールを定めるとともに、設備・器具の衛生管理や職員同士の接触にも気を配る必要があります。

より安全で清潔な施設環境を維持するために、抗ウイルスや抗菌、消臭などが期待できる衛生機器を導入することも一つの方法です。

ワークプレイスIggy』では、医療・介護施設の感染症対策に役立つさまざまな衛生機器を用意しております。汚物室を含む施設内の衛生管理と安心かつ快適な環境づくりにご活用ください。

詳しくは、こちらから資料をご覧ください。