少子化による人口減少と高齢者人口の増加が進む日本では、2040年が到来する頃にさまざまな社会問題が表面化すると考えられています。

デイサービスや老人ホームなどの高齢者福祉・介護事業所(以下、介護施設)においては、いわゆる2040年問題を見据えて地域の介護・福祉を守るための取り組みが求められます。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大や物価の高騰、人材難などによって介護事業の経営は厳しさを増している状況です。

このような環境のなかで安定した経営基盤をつくるには、利用者の集客と定着化を図る必要があります。施設担当者のなかには、「問い合わせが来ない」「ケアマネジャーからの紹介数が少ない」などのお悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、介護施設の集客がうまくいかない原因と集客力を高める方法について解説します。

出典:厚生労働省『2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ等について

介護施設の集客がうまくいかない原因

介護施設の集客がうまくいかない主な原因には、以下が考えられます。

▼介護施設の集客がうまくいかない原因

  • 介護施設を探している利用者・家族に知ってもらえていない
  • サービスや施設環境などの強みをアピールできていない
  • 利用者や家族のニーズを満たせていない

広告や宣伝活動が不十分だったり、ターゲットとする利用者・家族にアプローチができていなかったりすると、自社の介護施設を認知してもらえず施設選びの選択肢に含めてもらえません。

また、介護サービスや施設環境などの強みをアピールできていないと、ほかの介護施設との差別化が難しくなり、比較検討の段階で選ばれない結果となってしまうことも考えられます。

介護施設の情報がターゲットに届いている場合でも、サービスの内容や機能訓練のプログラム、食事などについて利用者とその家族のニーズを満たせていない場合には、問い合わせへとつなげることは難しくなります。

介護施設の集客力を高める4つの方法

介護施設の集客力を高めるには、ターゲットとの接触を拡大できる広告や宣伝活動を行う必要があります。また、独自性のある強みをアピールしたり、利用者と家族のニーズを踏まえたサービスを検討したりすることも重要です。

ここからは、具体的な方法について解説します。

01 地域を絞った広告運用を行う

介護施設の利用者・家族は、住んでいる地域または親族が通いやすい場所で入居先を探すことが一般的です。

入居先を探している利用者・家族に自社の介護施設を知ってもらうために、施設のある地域に絞って広告運用を行うことが有効です。地域を絞って広告を出稿できる媒体には、紙媒体とWeb媒体の2つがあります。

▼地域を絞って出稿できる広告媒体

広告媒体運用方法
紙媒体新聞の折り込みチラシを出稿する地域情報誌やフリーペーパーに掲載する地域の医療機関や公共施設にポスター・リーフレットを設置する
Web媒体リスティング広告で地域のターゲティングを行うSNS広告で地域や特定のキーワード検索をしたユーザーを絞るポータルサイトへの広告掲載を行い、エリア検索ができるようにする市区町村の地域包括支援センターのWebサイトに広告を掲載する

02 ホームページで強みをアピールする

入居先を探している利用者・家族のなかには、インターネットで情報収集を行う人もいます。介護施設のサービス内容や強みなどを伝えるには、ホームページを制作して詳細な情報を提供する必要があります。

また、離脱を防ぐためにホームページ上で問い合わせや資料請求、見学予約などを完結できる仕組みを整えることも重要です。

ホームページでは、利用者・家族の悩みや知りたい情報を分かりやすく記載して、独自性のある強み・魅力をアピールすることがポイントです。

▼介護施設の利用者・家族が知りたい情報

  • 介護サービスの内容・範囲・対応時間
  • 機能訓練のプログラムや食事の内容
  • 利用条件、身体状況や病状による入居判断の基準
  • 利用料金
  • 1日におけるケアのスケジュール
  • 介護をするスタッフの人数や人柄
  • 介護施設の利用者や家族の声
  • 施設内の設備・環境
  • 介護施設の空き状況

03 健康教室や交流会を開催する

介護施設で健康教室や交流会などのイベントを開催することも集客力を高める方法の一つです。

健康教室や交流会を実施すると、施設環境をはじめ介護スタッフの雰囲気、サービスの内容などを実際に見て体験してもらえます。

▼イベントの開催例

  • 地域住民を対象に認知症ケアや寝たきり予防、口腔ケアなどに関する知識を伝える健康教室を実施する
  • ケアマネジャーを対象とした交流会を開催して、介護研修やプログラム体験を実施する

地域住民を対象とした健康教室は、気軽に参加してもらえるほか、実際に施設環境を確認できるため、安心や信頼を構築しやすくなります。その結果、介護施設の利用が必要な親族の入居につながったり、知り合いに紹介してもらったりする可能性が期待できます。

また、ケアマネジャーの交流会を開催して関係性を深めることで、利用者・家族に紹介してもらえる機会の拡大につながることもあります。

04 利用者に喜ばれる施設環境・サービスを整備する

介護施設の集客力を高めるには、利用者に喜ばれる施設環境・サービスを整備することも必要といえます。

地域住民への認知を拡大させるだけでは、問い合わせや入居へとつなげることは難しくなります。利用者・家族のニーズを踏まえて「ここに入居したい」と思ってもらえる施設環境とサービスを整えることが重要です。

安心かつ快適に過ごせる施設環境や質の高いサービスを提供することで、生活の質の向上につながり、集客数の向上、ひいては入居後の定着化にも結びつくと考えられます。

▼快適性や安全性を高めるための施設環境づくりの例

  • ユニバーサルデザインを取り入れて、身体状況や認知機能が異なる利用者が過ごしやすい環境を整える
  • 認知症の方の認知機能を助けて自立を促すための内装デザインを取り入れる
  • 抗ウイルス・抗菌機能のあるドアや手すりを設置して感染症対策を行う
  • 温かみのある木材やグリーンを取り入れてリラックスできる空間をつくる

▼生活の質の向上につながるサービスの例

  • 専門家による機能維持・向上のためのプログラムを用意する
  • 認知症ケアの手法“ユマニチュード”を取り入れて、人間らしさを大切にしたケアを行う
  • 管理栄養士による栄養ケアやマネジメントを行う

なお、介護施設の内装リニューアルや認知症の方にやさしいデザインについては、こちらの記事で解説しています。

ユマニチュードを取り入れた認知症ケアについてはこちらの記事をご確認ください。

“ユマニチュード”の5つのステップ。4つの柱を取り入れた優しい認知症ケアとは

まとめ

この記事では、介護施設の集客について以下の内容を解説しました。

  • 集客がうまくいかない原因
  • 介護施設の集客力を高める4つの方法

介護施設の集客力を高めるには、広告やホームページでの宣伝活動を行うとともに、独自性のある魅力と強みをターゲットとする利用者・家族にアピールすることが重要です。

また、利用者・家族が抱えている悩みやニーズを踏まえたうえで、利用者に喜ばれる施設環境・サービスを整備することも大切といえます。快適で安心に過ごせる施設環境づくりと質の高いサービスを導入することで、入居希望者の増加や定着化につながると期待できます。

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